2011年3月30日水曜日

地震、その後。

阪神淡路大震災のその日、私は出版社に勤めていて、某作家の先生の取材中だった。東京に地震の直接の影響はなくて、音を消してつけていたテレビでヘリからの映像で火事がどんどん広がって行くのを観ていた記憶がある。母の実家、つまり私の祖父母の神戸の家はほぼ全壊で、夏休みに毛虫に襲われながら世話をしたバラ園や、おばあちゃんと押し花を作った芙蓉の木や、子供の頃は怖くて昇れなかった急な階段なんかは全部なくなってしまって、斜めに倒れたタンスの隙間からおばあちゃんが助かったのはよかったけど、おばあちゃんにとっては、人生を共にしてきた色々なものがなくなってしまって、ヘンに土地や現金や証券など、いまでいうクラウドな財産だけが残ってしまい、その後の家族が微妙に変化していったことは、いくら戦争を体験しているとはいえ、つらかったんじゃないかなと後になって思った。当時の私は、まだバブル真っ最中の出版業界で、目の前の仕事やオトコや楽しいことがあまりにたくさんあって、そんな家族の変化に十分な思いやりをもって対応しなかったことを、今回の地震で思い出した。

今回の地震当日は、ロケで那須にいて、大きく揺れたときは高速道路で運転していた。地震に早く気づいたヒトと、私のように鈍感なひとがいて路上は大混乱で、翌朝までSAで待機だった。電話もネットもつながらなくて、停電で、まったく情報から遮断された状態が最初の半日だった+元来のお気楽がたたって、東京に戻るまでことの重大さをよく理解していなかった。

家に帰って愕然。。。玄関のクローゼットが斜めに倒れていて、本棚も2本とも倒れ、その勢いでグラスを入れたカウンターバーも倒れていてガラスが散乱していた。冷蔵庫も斜めに倒れて、ワインが割れていいにおい。。。作り付けなので安心と思っていたけど、開き戸が開いた食器棚からはお気に入りのお茶碗が落ちてこちらも破片だらけ。。。植木も倒れて土だらけ。。。ななこはたまたま美容院に出していて、助かった。家にいたら、たぶん危なかった気がする。


そんなときでも、あー、サラリーマン根性。。。会社大丈夫かなと思った。2階にクルマがあるし、ガラスが多いしな、と。

テレビも倒れててつかないし、パソコンがあるところまで行き着けないし、電話はつながらないしで、さらに情報から遮断されたまま、とにかく片付けなくちゃと思った。ガラスの破片が多くて、片付かないとななこを入れられない。バカラのグラスとか京都で買った古伊万里のお茶碗とか、後で飲もうと思ってたいいワインとか、大事なものほど割れてたけど、何も考えないで捨てた。ついでにいらないのになんとなくとっていたものも捨てた。

両親や友達と連絡が取れるようになって一安心したところで、割れ物も片付いたら、とりあえず生活できるようになったので、懸案の大量の本は奥の部屋に押し込んで、片付けないまま扉を閉めて、もう見ないことにしてしばらく暮らした。ソファーで寝て、服もたまたま手前の部屋にあったものを交互に着て、それなりに生活できることに驚きながら。
でも、一緒に片付けてくれるヒトがいて(正しくは、片付けてくれたヒトがいて、だけど)部屋ががぜんすっきりすると、無性にもっとすっきりしたくなって、倒れて壊れかけた家具は全部捨て、不安定になっていたテラスの壁も外して全部捨て、割れた植木も全部捨て、なんとなくとってあった着ない洋服は、全部寄付。地震の前より荷物は半分くらいになって、
ラッキーなことに、仕事で被災地のサポートに多少関わることができて、忙しく、ちょっとお役に立ててる気分も味わえて、私自身は相変わらず勝手にさっさと、地震によって生活をリニューアルして、高い電気代の苦悩をここで克服すべく節電もして、以前よりむしろ快適な暮らしを手に入れつつある。ありがたや。

被災地もいまは大変だけど、復興に向けて国のしごとやボランティアのありかたなども考えたいのは、物資を送って、ご飯を配給して、道路やがれきを整備してあげて、ではなく、被災地の人々が、早く自活できるようにサポートする方がよいのではないかと思う。人間、自活できることが実は幸せだし、漁師さんは漁へ、お百姓さんは畑へ、会社員は会社へ、自分も含めて仕事ばかりして生きてきたヒトは、おいしい配給ご飯より、自分で働いてかせいだB級グルメが好きだ。ヒトの好意はありがたいけれど、一方で、意外とヒトの世話にはなりたくないものだ。自活できてだれかに必要とされている、そんな人生に被災地の皆さんが戻れる、または新たになれるといいなーと思う。

ちまたでは非常時における広報やメディアのありかたとか、SNS の役割とか議論されていて、立場的には多少近くにいるのだと思うけど、正直まったく興味なくて、自分の仕事がこの状況の社会にどう役に立てるかを追求しつつ、阪神淡路大震災のときの教訓を生かして、自分と自分の大切なひとたちに、思いやりある自分でいたいなと思ったりします。

もうすぐ4月。

2011年3月11日金曜日

チャージ@広島

また広島。今回は一応、仕事。有限であるが故に無駄な争いを引き起こす石油依存の社会から移行のために電気自動車がその牽引役になりたいという思いを背負ったスポーツカーは、やはり原爆ドームと一緒に撮影したい。世界遺産だっていうのもあるけど。


その日はとてもいい天気で、悲惨な戦争の残骸とはいえ、その後広島で暮らしてきた人々の生命力のおかげで、その周りはとても平和な空気に包まれていました。しばしベンチで休憩していると、なんだかすごく幸せな気持ちになったのが不思議な感じ。

仕事は夕方で終わって、日帰りしてもよかったのだけど、週末を過ごしにベラビスタへ。もはや第2の故郷化しつつある。いや、実家までロードスターなら5分、タクシーなら15分、しかも近すぎてお正月お年玉をいただきに(うふ♪)帰るだけという私にとって、おいしいご飯、あったかいお風呂、きれいなお部屋、きれいなベッド、しかも説教なし。まさに夢の故郷♪ 当日開催されていたワインとチーズのパーティにもちゃっかり参加。切りたてのパルミジャーノ初体験。羽田を始発で出てきてずっと仕事していた(ってたいしたことしていないが)疲れもあって、直前までパーティ出たくないとごねていたアタシはどこへやら。ワインもチーズも初対面の方々とのおしゃべりも満喫しすぎ。さんざん飲んで食べたあとは、お部屋に帰ってだらだら幸せ。

翌日はずーっと本を読んだり調べものしたり、しかもおいしいコーヒーがタイミングよく出てきて、夢の書斎w 

月曜日は平日だというのに、私も船に乗せてもらいました。離島まで船で行って、そこでサイクリング。自転車乗れるかと無礼な質問を食らいましたが、そこは笑顔。スポーツタイプの自転車だけど大丈夫? とさらに食らいましたが、笑顔。乗れるに決まってるでしょ。


最近、世界の自転車好きにも人気だというしまなみ海道サイクリングをまたまたちゃっかり体験させていただき、土曜日働いた分はしっかり回収。

人生こうでなくちゃね。

2011年3月9日水曜日

チャージ@東京都庭園美術館

クルマの撮影は混雑を避けたいというこちらの事情と、写真を重視している媒体の場合は太陽の加減のようなものもあって、早朝から出かけることが多い。朝7時か8時から出かけて、お昼前には終わり、2時ごろにはクルマを戻すパターンがだいたい週の半分。ミーティングや記者さんからのお問い合わせは夕方から夜にかけてが多いので、そのあいだにたまったメールや取れなかった電話を折り返したりするべきなのだが。。。まあ、なんせ、そんな日のその時間は眠いです。2時すぎですでに7時間近く働いて、そのうちの半分くらいは運転しておりまして。

というわけで、もう割り切って、その時間は最近堂々と2−3時間の休憩です。カフェだと結局仕事してしまうし、ヒトに会うには眠いし、ゆっくりひとりでお昼食べたり、美容院行ってヘッドマッサージしたり、ネイル行ったりくらいしかできないけど。映画を見るには電話かかってくると取れないしとか、買い物了解すると野放図にお金使いそうだし、英語やなにか勉強できればいいのですが、眠い訳で。。

ということで、行ってきました、美術館。その日は早朝便で羽田に着いて、そのまま撮影という無謀なスケジュールのあと、一度帰宅。昼寝したら時差ぼけに突入してしまうので、チケットいただいたこともあり、東京都庭園美術館へ。

広告ポスターは非常に興味深いエリア。企業や商品の広告宣伝物であると同時に、日々の生活空間のビジュアルに大きく関わるからかなあ。いいポスターでも、あの場所に貼ってほしくないなーとか、いい写真だけどポスターとしてはつまんないなーとか、絵画やアートより自分にとって楽しみやすい。美術館で並べて見るポスターはビジュアルだけで比べて見れたりするから、時代背景とかその時代の技術とかもう少し別の視点で楽しめたりする。今回はパーソナルガイドが一緒だったので、いろいろ教わりながら見られたのでなお楽しく。大昔は文字しか表現手段がなかったから、文字のデザインに主張がものすごくあって、時代とともに絵が加わり、写真が加わり、デジタル技術が導入され、と表現手法に厚みが増して来る。デジタルが導入される前とあとでは、依頼主も作り手も仕事の仕方が変わったのをオンタイムで見ていたわけだが、もしかしたら、絵や写真が導入された時代も同じような困惑と興奮があったのではないかなと思う。進化の過程でヒトは取捨選択して、表現方法を拡充してきているのが、この展示でがよくわかります。

表現手段が成熟した現在こそ、クリエイションには取捨選択は品性だし、技術にうとくても機会損出だし、やはりよく勉強して、研究して、場数もふんで、仕事に対して知性と総合力をつけていかなくてはいけないなと思った次第でごさいました。

銀座・金田中が運営するカフェでの遅いランチ+デザートに食べたきな粉餅、庭園美術館の規律ある”庭園”の散歩と、アールデコな建築にもチャージされました。